北村わさび
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ワサビ作りのこと
 
種を採り続けています
植物の生き続ける力
植物は移動することができません。その土地で生き抜いて種を落とし、より優れた子孫を残そうとします。土地の情報や新たな環境の変化を種に更新し、次代はその土地で生命力を発揮していきます。気候風土や自然環境は土地によって異なります。ある土地からやってきた種も、自然交配したり、環境にゆっくりと適応したりして、その土地固有の生命力の強い植物に生まれ変わります。植物は変化しながらその土地で何年も生き続けていきます。

種が伝える当地のワサビ
ワサビは環境(水)に支配されるとても敏感な植物です。栽培においても、その土地にある在来種や土地に合う導入種などをもとに何年もかけて選抜、採種し、ワサビ田(水質)に合った系統を探し、その土地固有の品種を作っていくことが大切です。土地が持つ個性は全国多様ですので、もとは同じ品種であっても選抜淘汰を繰り返すとその土地ならではの品種に生まれ変わり、土地、農家の数だけ品種があり、系統も含めるとその数は無数に存在すると言えます。当地においても、現在の品種は50年近く自家採種を続けているもので、当地の湧き水、気候風土、栽培方法にうまく馴染んだワサビは病気や害虫にも強く、たくましい生命力を発揮してくれます。

種が伝える当地のワサビ   種が伝える当地のワサビ    
当地のワサビはよく「個性がある」と言われ、この土地ならではの姿形と風味を持っています。

雑種性の強い植物
植物は多様な遺伝子の組み合せを持つことで新たな環境の変化に適応していきます。特にワサビは環境に支配されやすい植物です。アブラナ科植物で他家受粉を基本とし、自分の花粉による受粉を避け、他の株の花粉(新しい遺伝子)を求めます。その結果、多様な個性を持った集団が生まれます。生育が不揃いだったり、いろいろな姿形になって現れたりするのはこのためです。「種の数だけワサビの種類が生まれる」とも言われます。

雑種性の強い植物   雑種性の強い植物   雑種性の強い植物
受粉の様子。春になると花を咲かせ、ワサビ田を訪れた昆虫に受粉を手助けしてもらいます。

雑種性の強い植物   雑種性の強い植物    
生育がゆっくりなワサビは場所(環境)を変えて時間をかけて育てます。植物にはもともと発芽するタイミングをずらしたり、バラバラに成長したりする知恵が備わっています。天候不順、病気、害虫などによるリスクを分散させるためです。生育の早い遅いはそれぞれが持っている特性(個性)のひとつでもあります。

種を採り続けることの難しさ@
当地に昔から伝わるワサビを残し、次代にその良さが現れると期待できる株を選抜していく(その見極めも難しいところですが)ことが種採りの基本です。ただ、品種としてきれいに揃えようと、同じような性質を持つものだけを選んでいくと、徐々に生命力を失ったものが現れてきます。他家受粉作物が近親繁殖に傾くと(遺伝的な純度が高くなると)起こる現象です。例えば、収量を増やすために大きいものばかりを選抜していくと、病気にかかったものが多くなるなど、結果的には集団としてはよくない方向に傾きます。同じような性質を持つものだけを残していく、作り続けていくことはできません。安定した集団を維持していくためには、多少雑多な感じで種を採り、いろいろな特性(個性)を持ったものを混在させておきます。そのバランスが難しいところですが、それぞれが気候や環境の変化に適応したり、病気や害虫に抵抗したりして、遺伝的には変化をしながらも長い目でみると集団としてバランスを保っていきます。

種を採り続けることの難しさA
実際に収穫してみるとよくわかりますが、ワサビはいろいろな姿形で現れます。その変異は先天的なもの(遺伝変異)だけではなく、後天的なもの(栽培変異)でも決まってきます。土を作って種を播き、ワサビ田に移して苗を作り、さらに定植して収穫するまでの生まれ育つ様々な環境の変異が姿形に現れます。例えば狭いワサビ田内においても、湧水源に近い上流ほど水が肥えているので大きくなりますが、栽培条件が良かった(水が良かった)ことだけで(遺伝的なものではなく環境的なものだけで)大きくなったすると、その株から種を採っても意味がありません。このようにワサビに現われている変異が、遺伝的なものなのか環境的なものなか、かなり難しいことですがその見極めも種を採っていくうえでは大切です。

種を守るということ   「種を採り続ける」ということはとても手間がかかり難しい作業ですが、この土地のワサビを作り続けていく、守っていくうえではなくてはならない仕事です。
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ワサビ作りへの取り組み
ワサビの増やし方
ワサビは他の植物と同じように、種子繁殖(種をこぼして繁殖する)と栄養繁殖(親株から芽を出した子株が独立する)を繰り返し行います。二つの繁殖方法により、遺伝的に安定した集団を維持し、より確実に子孫を残していくことができます。ワサビ作りにおいても、自然のままの繁殖方法に沿って維持し、増殖して苗も全て自家自給しています。

ワサビの増やし方   ワサビの増やし方   ワサビの増やし方
ワサビ田から種がこぼれ、周辺のあちこちで野生化し、同じ場所で繁殖を続けるワサビ。野生のワサビも春になると花を咲かせますが種はほとんどできません。

ワサビの増やし方   ワサビの増やし方   ワサビの増やし方
大量の種をまき散らし、厳しい環境(写真はワサビ田通路)でもたくましく芽を出すワサビ。種を熟してこぼれる前に採って、ワサビの好む環境を整えたり、土作りをしたりして、たくさんの種をまいて苗を作る、というのが農家の仕事になります。そしてその苗をワサビ田に移植します。

子株をそのまま苗にする
栄養繁殖では、収穫時の親株に付いている子株を採って(株分け)そのまま苗にしてワサビ田に植えるので苗作りの手間がいりません。子株は親株とほぼ同じ遺伝子を持つので(親株の特性をそのまま子株に伝えることができる)、遺伝的に安定したものが維持できます。しかし、良苗として得られる本数は1株に数本程度で(他の作物ではたくさんの苗が付く)、増殖率が悪くて栽培するだけの苗が確保できません。また、何代も繰り返し増殖していくと種ができなくなったり、ウイルス(病気)にかかったり(病気もそのまま伝わる)して、やがて衰退していきます。これはワサビ作りには避けては通れない「退化現象」と呼ばれるもので、栄養繁殖だけではワサビを維持していくことはできません。自生する在来種をこのような方法で増殖してきたのがワサビ作りの始まりでもありますが、退化現象に見舞われるたびに「次の苗」を探さなければなりませんでした。

子株をそのまま苗にする   子株をそのまま苗にする   子株をそのまま苗にする
丈夫でしっかりした、病気にかかっていない親株から1本1本選んで子苗にします。3枚目の写真はその苗を定植して収穫できたものになります。

種子による繁殖の始まり
当地においても、取り寄せた「ダルマ種」を株分けで増殖していましたが、昭和37年(1962年)頃に退化現象が見られるようになりました。そんなある時、裏山(収穫時に出るワサビのゴミを捨てる場所)で父親(高校生の頃)が偶然に、かたまりで芽を出しているワサビを目にしました。それを何本かワサビ田に移植してみると、今までにない立派なものができました。それから祖父と父親とで、「ワサビを種で増やす」という取り組みが始まりました。種子繁殖では栄養繁殖のように病気が伝染することはなく(病気を断ち切って無病株が得られる)、遺伝的に多様なものが得られ(土地に合うより優れた系統を選抜できる)、生育が旺盛なものをたくさん確保することができます(種をまいて苗を作るので生産性が高い)。当地ではこのように栄養繁殖と種子繁殖を組み合わせることでワサビを維持しています。

種子による繁殖の始まり   昭和56年(1981年)。選抜の様子。当地では「ダルマ種」を原種に独自の方法で何年もかけて交配、採種を繰り返し、この土地(水質)に合った系統を選抜してきました。ワサビは雑種性が強く、品種の育成には大変な時間と労力がかかりました。

種子による繁殖の始まり   種子による繁殖の始まり    
昭和40年(1965年)頃。苗作りに取り組む様子。今のような育苗ハウスや資材がない時代。種をまいて、カヤを編んだもので日覆いをしています。種子繁殖による栽培が安定するまで約20年かかりました。今でも苗作りは難しく、これからも試行錯誤の連続だと思います。

当地の品種について
昭和20年(1945年)頃までは、ワサビ田や小池山など付近に自生していたものを増殖、その後、妙見山(兵庫県養父市)の自生種を持ち帰ってワサビ田に移して増殖したという記録が残っています。また、各地からも優れた自生種を取り寄せて株分けで増殖、維持をしていましたが退化現象に見舞われました。そして、昭和32年(1957年)に祖父が静岡から「ダルマ種」を譲り受け、株分けで増殖をしていましたがやはり退化現象が現れ、昭和38年(1963年)よりこの「ダルマ種」を原種に種子繁殖による品種の育成に取り組み、何年もかけてようやく当地に合った優良な品種を得ることになりました。種子繁殖品種と栄養繁殖品種の中間(程よく花が咲いて、子株が付く)の品種になります。「ダルマ」の原種は今ではほとんど残っていないと言われていますが、当地では現在まで維持しています。

「ダルマ種」について
はっきりとした来歴や栽培状況はわかりませんが、いろいろな資料を参考にさせていただくと、原産地は神奈川の半原で、大正時代末期から昭和初期にかけて静岡において導入された「半原種」の中から突然変異株として優れた系統を発見、選抜されて「ダルマ種」と名付けられたそうです。「ダルマ種」は静岡を代表する品種で、全国各地にもかなり広がりましたが、約40年間の栽培を経て、昭和40年(1965年)頃から急速に退化現象が現れ、原種に近いものはほとんどなくなりました。静岡では昭和30年代後半に和歌山が原産の「真妻種」が導入され、全国的にも主な品種となっています。
 
種から育てる苗作り
★2012年から苗はすべてワサビ田で、「水」を利用して作っています。以下はそれまでの苗作りについての内容です。現在の苗作りについては、「北村わさびのBLOG(苗作り)」をご覧下さい。

当家では苗を全て自家生産し、この土地に合った苗作りを大切にしています。「三つ子の魂百まで」と言われているように、苗作りはとっても重要な仕事のひとつで、苗の良し悪しがその後の生育に大きく影響します。なかでも「土作り」はとても難しく、湧き水はそのまま山から与えられますが、「土」になるとそうはそうはいきません。と言っても特別なことはしません。自然の山を見てみると、多様な生き物が生息し、自然と良い土ができ、植物が元気よく根を張っています。自然の山や土から学ぶことを大切にしています。

種から育てる苗作り   種から育てる苗作り    

ワサビは、「土」に種をまいて「水」に移して育てます。この「土」と「水」の繋がりを大切にしています。山では落ち葉や枯れ草などが土となり、その中を雨や雪が浸透して湧き水になります。水は山から生まれ、その養分は山のもの由来しています。山のものを使って土作りすることで、「土」と「水」に繋がりを持たせています。

土作りの材料は、近くの山にあるもの自然のものを使ってなるべく自給しています。落ち葉、山草、自然の土が主になります。いろいろな場所からいろいろな種類のものを集めています。

種から育てる苗作り   種から育てる苗作り   種から育てる苗作り
秋になると神鍋山の周辺で落ち葉を集めます。主に道路脇に溜まったものを集めています。

種から育てる苗作り   種から育てる苗作り   種から育てる苗作り
山草は種ができる秋までに刈り取ります。集めたものをカッターで細かく切断します。

種から育てる苗作り   種から育てる苗作り   種から育てる苗作り
自然の土を採取します。小石や木の根っこなどを「ふるい」にかけて取り除きます。

種から育てる苗作り   種から育てる苗作り   種から育てる苗作り
材料が揃ったら混ぜ合わせ、長い時間をかけて微生物によって分解された自然の土になります。

種から育てる苗作り   種から育てる苗作り   種から育てる苗作り
ワサビは涼しい環境を好みます。秋から春にかけて種をまき、涼しい時期にじっくりと丈夫な苗を作ります。寒さ、雪、雨から守るためにハウスで育てます。農薬も肥料も一切使いません。

種から育てる苗作り   種から育てる苗作り    
ハウス(土)で育てた幼苗はそのまま定植しないで、なるべく早くワサビ田(水)に移植して(仮植と言う)、湧き水を利用してさらに苗作りを行います。1本1本の移植はとても手間がかかりますが(しかも冬の寒い時期にあたる)、湧き水に合った丈夫な定植苗を通年で確保(ハウス栽培だと涼しい時期しかできない)でき、選抜や選別もできるので苗の精度も高まります。この「湧き水による苗作り」は独自の方法で、仮植するための「苗ブロック」はワサビ田の20%を占めています。

種まきから収穫まで

種まきから収穫まで   種まきから収穫まで   種まきから収穫まで
種まきから収穫まで約2年かかります。秋から春にかけて種をまいて、4〜5ヶ月後にワサビ田に移植(仮植)します。さらに3ヶ月後、大きいものから順に間引いて定植していきます。定植してから1年後に収穫になります。収穫はほぼ年中行います。
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